Knowledge Partners 特許業務法人【名古屋の特許事務所】

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ヨーロッパの代理人さんに事務所を訪問してもらいました

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 先週、欧州の代理人さんに事務所を訪問してもらいました。

 4月に中国の上海で行われた知財カンファレンスでたまたま挨拶をしたのがきっかけで、弊所と取引が始まった欧州の代理人さんです。
 ホテルに迎えに行き、一緒にランチをし、その後、事務所で挨拶をし、次の目的地に案内したという流れ。弊所のオフィスで簡単に事務所紹介をした後、依頼案件の手続方針と進捗状況の確認をしました。
 うれしいことに、弊所のメール等のレスポンスが早くて仕事がやりやすいと言っていただけました。日本の大規模事務所のレスポンスが遅いとは一概には言えないとは思いますが、レスポンスの早さは弊所のような小規模事務所の強みなのだと改めて認識しました。時差などがあって難しいと感じることもありますが、個人的には、即日で返信をするように心がけています。
 それ以外、ランチ中や移動中など、とにかく雑談しっぱなしでした。話したいことが次々に頭に浮かんでくる英会話のレベルにないため、正確には、一方的に雑談されっぱなしの状況であります。要改善です。
 新たなクライアントに喜んでもらえることはとてもうれしいことです。世界中には、我々のサービスに満足してくれるクライアントがまだまだたくさんいるはずです。どのようにして世界中の潜在的なクライアントにKnowledgePartnersの存在を示すか、今後じっくりと作戦を練らねばならないといけないと感じました。

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中国における摘発特許詐称事件

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お盆休みに家族で中国に旅行に行ってきました。記録的大雨のため、お目当ての風景を見に行くことができませんでした。このニュースの時間にまさにこの場所にいました。久しぶりに命の危険を感じました。
http://gx.weather.com.cn/gxgqtp/2757805.shtml
それでも美味しい料理をたくさん食べ、ホテルでごろごろしてリフレッシュできました。豪雨の中出歩かなくてもホテルからよい景色が見られたのがせめてもの救いでした。写真は上海と桂林のホテルからの景色です。

 

せっかく中国に行ってきたので中国知財について書かせてもらいます。2017年の上半期の出願等統計報告が中国特許庁のホームページに掲載されていたので紹介させてもらいます。
http://www.sipo.gov.cn/twzb/2017sbnxwfbh/

上記リンクの出願等統計報告のなかからおもな値をピックアップしました。
・特許出願数:56.5万件(前年比6.1%増)
・特許登録件数:20.9万件
・特許登録件数(中国国内):16万件
・特許登録件数(中国国内かつ職務発明):14.9万件
・人口1万人あたりの特許所有件数ランク※2017年上半期までの累積
              北京(85.9件)、上海(38.4件)、江蘇(20.5件)、浙江省(18.1件)、広東(17.5件)、天津(16件)、陝西(8.1件)、福建(7.1件)、遼寧(7.0件)、安徽(7.0件)
・PCT受理件数:2.16万件(前年比16%増)
・PCT受理件数(中国国内から):2万件(前年比15.3%増)
・PCT受理件数(中国国外から):0.16万件(前年比26%増)
・不服審判請求数:15865件
・不服審判終結数:8504件
・無効審判請求数:2064件
・無効審判終結数:2007件
・特許侵害事件:8666件
・摘発特許詐称事件:6574件

相変わらず出願件数の多さに驚かされます。昨年に続いて2017年も100万件を超えそうな勢いです。

 それと、全国の行政で処理された特許紛争事件のうち、摘発特許詐称事件(查处假冒专利案件)の件数が侵害事件の件数に迫るほど多いことが気になりました。

摘発特許詐称事件というのは一体どういう事件なのでしょう?
文字から素直に判断すると、特許製品でないのに特許製品であるかのように表示して消費者を欺くことのように思えます。

上海市知財局のホームページに摘発特許詐称事件の処分(処罰)が公開されていました。この事件の事実のところを読むと、特許権が満了したのに特許表示をするようなことも摘発特許詐称事件にあたるようです。不適切な製品の製造販売を中止し、さらに罰金を支払うように処分されています。
http://www.sipa.gov.cn/gb/zscq/node2/node23/u1ai11913.html
6574件という事件の数から推測するに、中国政府は摘発特許詐称に厳しく目を光らせているように予想されます。
本当は日本でも気にすべきことなのでしょうが、あまり馴染みのないことですので、日本企業には中国での特許表示の適正さ(特に権利満了のケア)に気を付けてもらいたいところです。

 

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とてもかっこいいので、EPOの動画を見てください!

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“欧州発明者賞”European Inventor Award 2017についての動画集がEPO(欧州特許庁)からYoutubeにアップされていました。そのURLは以下の通りです。
 
 
 17本の動画があって、そのうちの15本が15人の受賞者(発明者)を紹介する内容となっています。発明の紹介や発明者のインタビューが主体で、ありきたりな内容なのだろうなと思っていたのですが、完全に裏切られました。どの動画もクオリティが高く、また主人公である発明者もやはりかっこよく演出されています。そのため、全動画を見てしまいました。発明者は偉大でかっこいい職業なのだと思わせられる動画ばかりで、発明者をサポートする立場の弁理士として誇らしく感じる動画です。子どもたちに是非とも見てほしいなあと思います。
ただ残念なことがあります。それは、どの動画も視聴回数が数百回程度に過ぎないということです。各動画はプロ(それも一流の)が作ったもので相当な予算がつぎ込まれていると予想されます。とても高額なEPOのOfficial Feeが無駄とならないように、みなさんにもっとEPOの動画を見てほしいと思います。
 EPOのOfficial Feeが高額なのをぼやいているのではなく、純粋にいいものだと思うのでたくさんの人に見てほしいと思います。
 
今回の記事で言いたいことは以上です。
 
ただ、せっかくなのでEuropean Inventor Awardについて解説しておきます。
ホームページによると、European Inventor Awardというのは、ヨーロッパで最も権威あるイノベーション賞の1つだそうです。2006年から毎年1回ずつ表彰が行われおり、技術進歩、社会開発、経済繁栄、雇用創出への貢献に基づいて審査が行われるようです。
表彰のカテゴリーは5種類あって、以下の通りです。
・大企業の発明者部門
・大学や研究機関の発明者部門
・非EU諸国の発明者部門
・中小企業の発明者部門
・生涯(長期間)貢献した発明者部門
各部門3人ずつ計15名の発明者(共同発明者)がファイナリストとして表彰を受けるようです。2017年のファイナリストは以下の通りです。日本にも出願している発明者も見えますので、google patentsなので検索して日本語公報を読んでみるとよいと思います。2017年だけかも知れませんが、受賞者の技術分野がライフサイエンス分野に偏っているように感じました。
○2017受賞者リスト 
・Hans Clevers (NL)
・James G. Fujimoto (US), Eric A. Swanson (US) and Robert Huber (DE)
・Gert-Jan Gruter (NL)
・Waleed Hassanein (USA)
・Gunter Hufschmid (DE)
・Laurent Lestarquit (FR), Jose Angel Avila Rodriguez (ES) and team
・Lars Liljeryd (SE)
・Steve Lindsey (UK)
・Elmar Mock (CH)
・Sylviane Muller (FR)
・Rino Rappuoli (IT)
・Adnane Remmal (MA)
・Giuseppe Remuzzi, Ariela Benigni, Carlamaria Zoja (IT)
・Axel Ullrich (DE)
・Jan van den Boogaart (NL) and Oliver Hayden (AT)
 すでに2018年のノミネートをオンラインで受け付けており、日本の発明者も非EU諸国の発明者部門の受賞対象になります。なお、『高等学校、高等専門学校、及び大学生等の知的財産マインドを育てる』ことを目的とする日本特許庁開催のパテントコンテストとはだいぶ性質が異なる点に注意が必要です。European Inventor Awardの詳細については、こちらを見てください。
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STAP細胞の米国特許の審査状況(Final OA後のInterview)

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 週末(7月15~17日)の間にブログを書こうと思っていたのですが、運悪く特許庁のJ-PlatPatがメンテのため使えず、書こうと思っていた記事に必要な情報を入手できない。他にも週末にJ-PlatPatを使ってやることがあったのですがそれもできない。ちょうど、有料の特許データベースの契約を検討中だったのですが、そちらが加速しそうな感じです。

 気を取り直して、J-PlatPatが使えなくても書ける記事を急遽模索してみました。ちょっと安易ですが、日本の特許データベースがだめなら米国の特許データベースを使って書ける記事にします。

 今回は、STAP細胞の米国特許について取りあげます。STAPというのは、刺激惹起性多能性獲得(Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency)のことで、少し前に大いに話題になったものです。

 あのときは論文の内容の信憑性が話題になりましたが、もちろん特許出願もなされており、米国や日本も含めて9か国に出願されているようです。STAP細胞についての米国特許出願(14/397080)の状況をUSPTOのPAIRで調べたところ、このような記録(重要なイベントのみ抜粋)となっていました。

10-24-2014 Transmittal of New Application
01-08-2015 Preliminary Amendment
07-06-2016 Non-Final Rejection
01-06-2017 Affidavit-traversing rejections or objections rule 132
01-06-2017 Applicant Arguments/Remarks Made in an Amendment
05-18-2017 Final Rejection
06-30-2017 Applicant Initiated Interview

 最初の拒絶理由通知に応じて意見書と発明者(バカンティ氏)の宣誓供述書が提出されました。しかし、審査官の心証は覆らず、2017年5月18日にファイナルの拒絶理由通知が出されました。
 最初とファイナルの拒絶理由通知で審査官が使用した根拠条文は以下のものです。

【35U.S.C.112】(a)The specification shall contain a written description of the invention, and of the manner and process of making and using it, in such full, clear, concise, and exact terms as to enable any person skilled in the art to which it pertains, or with which it is most nearly connected, to make and use the same, and shall set forth the best mode contemplated by the inventor or joint inventor of carrying out the invention.

【35U.S.C.101】Whoever invents or discovers any new and useful process, machine, manufacture, or composition of matter, or any new and useful improvement thereof, may obtain a patent therefor, subject to the conditions and requirements of this title.

【35U.S.C.102】A person shall be entitled to a patent unless

(b) the invention was patented or described in a printed publication in this or a foreign country or in public use or on sale in this country, more than one year prior to the date of the application for patent in the United States, or

 審査官はSTAP細胞の論文が取り下げられたことや否定的な再現試験の結果を当然知っており、112条(明細書が実施可能要件を満足しない点)と101条(発明がうまく働かない結果、有用性が認められない点)について突いてきています。これだけ発明の再現性(反復可能性)について否定的な状況だと見過ごすわけにいかなかったのでしょう。こういう事件を担当する審査官は大変ですね。

 ちなみに、私が担当した案件で一度だけ日本の審査官に『このような発明品は実在しないから発明が不明確であると』と指摘されたことがあります。出願人もまじめに出願しているのだから『実在しない』なんて失礼にも程があると憤りを感じましたが、証拠写真を提出して『本当にあるよ!』と反論して済ませました。バカンティ氏の宣誓供述書も概ね『STAP細胞は本当にあるよ!』という内容なんだと思いますが、簡単には信用してもらえないということのなでしょうか。

 話をSTAP細胞の拒絶理由通知に戻すと、102条についてはiPS細胞の中山先生の特許(MEF細胞を毒素(toxin)に曝すことで多機能細胞が生成できるとの記載)が引用されています。ちなみに最後に行われたメインクレームの補正は以下の通りで、哺乳動物体細胞に与えるストレスの一つとして毒素(toxin)を含んでいます。

  1. A method to generate a pluripotent cell, comprising subjecting an isolated mammalian somatic cell to a stress, wherein the stress is an environmental stimulus selected from the group consisting of
                  trauma, mechanical stimuli, chemical exposure, ultrasonic stimulation, oxygen-deprivation, radiation, exposure to extreme temperatures, dissociation, trituration, physical stress, hyperosmosis, hypoosmosis, membrane damage, toxin, extreme ion concentration, active oxygen, UV exposure, strong visible light, deprivation of essential nutrition, or and unphysiologically acidic environment;

    and selecting a cell exhibiting pluripotency.

 以上のようなファイナルの拒絶理由通知の後のイベントとして、ついこの前の6月30日に『Applicant Initiated Interview Summary (PTOL-413)』というステータスが記録されていました。このInterview Summaryを見てみると、以下のような記載となっていました。

Applicant’s representative discussed the retracted publication by the applicant’s and potential narrowing claims.  The examiner agreed with that the narrowing claims might overcome the enablement rejection depending on how much the claims narrowed and what is in the specification.

 電話インタビューの結果、クレームを減縮することにより拒絶理由が解消し得ることに審査官が同意しているようです。102条についてはクレーム減縮が有効であるように思います。しかし、112条と101条の拒絶理由の適否は、STAP細胞の再現性にかかっており、クレーム減縮で解決できるような質のものでないように思います。また、電話インタビューの記録にあるように、拒絶を克服できるか否かは『depending on・・・what is in the specification』となっています。いまさらニューマターを導入することなく、明細書の記載をどうにかできるのか疑問に思います。

 どのようにクレーム減縮がなされるのか、本当にクレーム減縮で拒絶理由を解消できるのか非常に気になるところです。

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米国ITC(国際貿易委員会)における侵害事件について

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 ここのところ、有名日本企業が米国ITCにて特許侵害の原告や被告になっているニュースを立て続けに見ました。ニコンが被告となったニュースやソニーが被告となったニュースもありましたし、ソニーが原告で富士フイルムが被告という有名日本企業同士が対決しているというニュースもありました。

 なんだかすごそうだということで、ITCについて簡単に調べてみました。

 ITCは、米国の国内産業の保護を使命とする機関であり、知的財産に関する問題に限らず、貿易に関する問題について調査責任を持つ準司法的な政府機関です。ITCは、関税法337条(https://www.usitc.gov/intellectual_property/about_section_337.htm)に基づいて、侵害輸入品が米国に輸入されることを税関に停止させるための排除命令を出すための調査(準司法的な手続)を行います。この調査は、大統領が任命した6名の委員による委員会と、行政裁判官(AIJ)によって行われます。行政裁判官が審理した内容の可否を、最終的に委員会が判断する審理構造となっています。

 ITCは、米国の国内産業の保護を使命としていますので、排除命令を受けるためには原告が対象特許等に関連する米国国内産業を有しているかその準備中であることが必要になります。そのため、いわゆるパテントトロールを含むNPE(Non-Practicing Entity)は排除命令を受けることが困難なようです。従って、NPEによるITCへの提訴の割合は、地裁における侵害訴訟よりも遙かに少ないようです(https://www.usitc.gov/intellectual_property/337_statistics_number_...)。ただし、上記URLの統計のようにNPEによるITCへの提訴は0ではなく、以下の事件のように複数の日本有名企業がNPEによって提訴されてしまっているケースもあります(https://pubapps2.usitc.gov/337external/3727)。

 陪審員制ではなく、知的財産の専門家による調査によって16ヶ月程度(https://www.usitc.gov/intellectual_property/337_statistics_...)の短期間で決定がなされる点等において、ITCは米国の地裁に侵害訴訟を提訴するよりも優位なようです。もちろん、ITCでは輸入の排除命令による救済が受けられるに留まりますので、損害賠償や輸入以外の実施行為の差止を希望する場合には、地裁に侵害訴訟を提起するしかありません。2016年においては、地裁が約4500件に対し、ITCが54件に過ぎません。それでもITCの被告となる日本企業は米国に輸出を行うような企業に限られますし、原告となる日本企業は米国に製造拠点等を有する企業に限られますので、ニュースに出た場合のインパクトは大きくなりますね。

 次に、これまでITCに日本企業がどれぐらい関わってきたかについて調べてみました。ITCのホームページ(https://pubapps2.usitc.gov/337external/)には2008年10月以降の事件のオンラインデータベースが公開されており、簡単に検索をすることができるようになっています。2008年10月よりも前の事件についてもリストをダウンロードできるようになっています。

 下のグラフは、原告と被告が日本企業となっている事件の数の推移を示しています。

 比較のために日本(JP)だけでなく、中国(CH)とドイツ(DE)のデータも載せています。これは当然のことですが、米国の国内産業を保護する日本と中国とドイツのいずれの企業も原告よりも被告になる事件の数が多くなっています。日本と中国の企業が被告になった事件の数がドイツの企業よりも多く、日本の企業は中国の企業と同様に標的にされている印象を受けます。一方で、日本は、中国やドイツよりも原告となった事件の数が多いことが分かりました。国内での侵害訴訟件数が他の国と比較して少なく、日本企業はおとなしい印象がありましたが、踏ん張りどころ(米国市場)では踏ん張っているのだなあと実感しました。

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特許審査部が特許庁になかった件

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特許庁?に審査面接に行って参りました。

面接日時の設定をし、審査官に意見書・補正書案を送り、あとは当日特許庁に行くだけだと思っていたところ、審査官から電話がありました。電話の内容は、六本木一丁目の仮庁舎に来てくださいとのことで、仮庁舎の入館に必要な認証用のバーコードをメールで送付するとのことでした。六本木一丁目の仮庁舎というのは、民間の六本木グランドタワー(http://izumigarden.jp/)という建物でして、テレビ東京も入っている今風の建物でした。

 あとは当日六本木一丁目の仮庁舎に行くだけだと思っていたところ、再度、審査官から電話がありました。その電話の内容は、入館方法がわかりにくいので説明をしておきますとのことでした。丁寧にこの説明をしてくれた審査官さんに感謝です。実際に行ってみたら、確かに分かりにくかったです。

 今後面接に行かれる弁理士さん等のためにその説明を以下に記載します。

1.事前にメールしてもらった認証用の一次元バーコーを印刷し、出発。
2.東京メトロの南北線の六本木一丁目駅の西改札口からグランドタワーのロビーに入る。
2.ロビーのチェックイン機に認証用のバーコードをかざして二次元バーコード付きの入館証を受け取る。
3.受け取った入館証をかざして右手側の特許庁ゲートを通過する。
4.一番右手奥のエレベーターホール前のゲートに入館証をかざし、エレベーターホールに入る。
5.4基あるエレベータのどれかで面接室がある18階に行く。
6.18階の内線電話で到着した旨を審査官に伝える。

 前日にお話しした弁理士さんの話では、1.の西改札口が開通するまではかなりの遠回りをする必要があったそうで、開通日(6月4日)のわずか3日後に行くことができて幸運でした。4.エレベーターホールは登庁時刻付近では行列ができますので、注意が必要です。

  4.のエレベーターホールかエレベータ内にあった行先案内板を見て驚きました。なぜかというと特許審査部がずらっと(たぶん全部)並んで記載されていたからです。つまり、特許審査部が特許庁になかったんです。これまで手続をしていた相手が、思っていた所(特許庁)と全然違う場所にあったということに軽いショックを受けました。あとで調べたら意匠の審査部も六本木のようです。

 送信先を認識しなくても手続ができる電子出願ソフトに慣れきってしまうのは、ある意味、恐いことなのだと思いました。電子出願ソフトで特許庁に送信された出願データを六本木で見ることが可能になっているのでしょうか。データの流れ、データの所在も気になります。今の時代、技術的には出願データがどこに送られてても何の問題もないでしょうが、セキュリティには万全を尽くしていただきたいです。いろいろ想像しながら帰路につきました。

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プログラム著作物の争点(その5:最終回)

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前回から間があいてしまいましたが、プログラム著作物の争点の最終回(その5)を書きます。
これまでの話(その1~4)の概要は以下のとおり。

  • (その1)プログラム著作物の侵害訴訟において『創作性』と『類似』がセットで揉めやすい。
  • (その2)『創作性』がある部分が『類似』しているか否かで侵害の成否が決まるため、『創作性』と『類似』がセットで揉めやすい。
  • (その3)『ソースコード』に『創作性』がある場合にプログラム著作物として著作物性があり、それが『類似』している場合に、プログラム著作物の侵害となり得る。
  • その4)(その3)の判断基準を画定してきたいくつかの判例の紹介と、特許の保護対象との比較。

 今回(その5)は、以上のお話のおさらいとして、「混銑車自動停留ブレーキ及び連結解放装置プログラム事件」(知財高裁 平成21(ネ)10024号)を紹介させてもらいます。この事件は、一審でプログラム著作物としての著作物性が認められ、控訴審でそれが覆されたという事件です。また、特許との関係について判断されています。

 プログラム著作物として著作物性があるか否かは、『プログラムに著作物性があるといえるためには,指令の表現自体,その指令の表現の組合せ,その表現順序からなるプログラムの全体に選択の幅が十分にあり,かつ,それがありふれた表現ではなく,作成者の個性が表れているものであることを要するものであって,プログラムの表現に選択の余地がないか,あるいは,選択の幅が著しく狭い場合には,作成者の個性の表れる余地もなくなり,著作物性を有しないことになる。』という考え方で判断されているのが最近の傾向です〔例えば(その4)で紹介した「宇宙開発事業団事件」(知財高裁 平成18(ネ)10003号)〕。

 今回の「混銑車自動停留ブレーキ及び連結解放装置プログラム事件」の一審・控訴審もこの考え方に沿って判断がされていますが、より突っ込んだところで判断が分かれました。
 一審では『・・このような車両の連結・解放・ブレーキ操作の方法・装置は,特許を取得する程度に新規なものであったことから,これに対応するプログラムも,当時およそ世の中に存在しなかった新規な内容のものであるということができる。したがって,本件プログラムは,DHL車の部分及びTC車の部分を併せた全体として新規な表現であり,しかも,その分量(ソースリストでみると,DHL車の部分は1300行以上,TC車の部分は約1000行)も多く,選択配列の幅が十分にある中から選択配列されたものということができるから,その表現には全体として作成者の個性が表れているものと推認することができる。』と判断されました。ソースコードによって実現される機能が特許的に新規であり、そのソースコードの量も膨大だから、プログラム著作物としての著作物性が認められるというのが一審の判断です。

 これに対して控訴審では、『もっとも,1審原告は,本来,ソースコードの詳細な検討を行うまでもなく,本件プログラムは著作物性を有するなどと主張して・・・本件プログラムのいかなる箇所にプログラム制作者の個性が発揮されているのかについて具体的に主張立証しない。したがって,DHL車側プログラムに挿入された上記命令がどのような機能を有するものか,他に選択可能な挿入箇所や他に選択可能な命令が存在したか否かについてすら,不明であるというほかなく,当該命令部分の存在が,選択の幅がある中から,プログラム制作者が選択したものであり,かつ,それがありふれた表現ではなく,プログラム制作者の個性,すなわち表現上の創作性が発揮されているものであることについて,これを認めるに足りる証拠はないというほかない。以上からすると,DHL車側のプログラムには,表現上の創作性を認めることはできない。』と判断されました。ソースコードのどこに選択の幅があって、その選択に創作者の個性が表れていることを具体的に立証していないから、いくら特許として新規性があってもプログラム著作物としての著作物性が認められないというのが控訴審の判断です。
 この事件において、プログラムが新規な機能を有することは、プログラム著作物としての著作物性を推認する根拠にすらならないと判断されたことになります。プログラムが特許となる程度に新規であることと、プログラム著作物としての著作物性があることとは、無関係であるということが念押しされた判決であると言えます。プログラムの保護に対する著作権法と特許法の考え方の相違が顕著に表れた判例だと言えます。
 プログラムは特許法だけでなく著作権法でも保護されるという印象があり、それ自体は間違いではないのですが、需要者が求めるようなプログラムの新規な機能については特許法でのみ保護されることに留意すべきです。5回にわたってこのテーマを書きましたが、プログラム発明について特許出願をする必要性を改めて認識させられた考察となりました。

 一旦、このテーマは終わりますが、コードに選択の幅があるなかで、どのようなコードを選択した場合に創作性が認められるかについて、引き続き調べてみようと思います。

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マドプロ実務と弁理士短答式試験の出題傾向

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 弊所はマドプロ(マドリッド協定議定書(標章の国際登録に関するマドリッド協定の1989年6月27日にマドリッドで採択された議定書))の外内案件も扱っています。マドプロの外内案件というのは、概ね、日本の特許庁が出した暫定的拒絶通報を撤回してもらうための中間処理のことを意味します。暫定的拒絶通報における拒絶理由の根拠は日本の商標法であり、反論する相手も日本の審査官であるため、われわれ日本の弁理士の出番ということになります。マドプロということで特別な感じもしますが、業務の内容は国内の拒絶理由対応と別段変わるものではありません。
 ただ一点だけマドプロ特有だと思うことがあります。それは、マドプロの場合、自らの支配下にある先願先登録商標を引用して4条1項11号で拒絶されるケースが国内の案件よりも多いということです。つまり、先願先登録商標が自らの支配下にあるにも拘わらず、特許庁において他人の先願先登録商標であると判断された結果、4条1項11号で拒絶されるケースが多いように感じます。
 その原因の一つに、先願先登録商標の移転登録や住所変更のやり忘れが挙げられます。権利の承継や住所変更があっても、外国の権利者がなかなか日本の商標権の登録情報までアップデートしきれていないというのが実情なのでしょう。特に一般承継において海外の知財権の処理まで気が回らないというのは仕方がないようにも思います。
 そんなことで、暫定的拒絶通報を受けてから慌てて権利を同一人に帰属させるための移転登録手続をしないかん、ということになるわけです。マドプロで暫定的拒絶通報を受けた出願人は先願先登録商標もマドプロを利用していた場合が多いため、多くの場合、先願先登録商標としての国際登録の名義人の変更手続をすることになります。その段階で、名義人の変更について規定しているマドリッド議定書9条を読むことになるのですが、不思議と条文の記憶が鮮明なのです。理由として思い当たるものは、だいぶん昔に受験した弁理士試験の短答式試験しかありません。
 ということで、過去問を見てみました。その結果、マドプロの名義変更に関する問題は最近の9年間(H21~H29)のうちの6年で8枝も出題されていました。

・H28-問10枝4
・H26-問11枝ハ,ニ
・H24-問10枝3
・H23-問14枝4
・H22-問19枝1,4
・H21-問5枝イ

 こんなにも出したら誰も間違えないでしょーという頻出度です。なぜ記憶が鮮明だったか納得がいきました。
 と、同時に、意外(と言ったら失礼かも知れませんが)と実務のことを考えて作られてたんだなあと、弁理士試験のありがたみを感じました。
 受験される皆様におかれましては、無駄な知識の詰め込みが多いように感じることもあることと思いますが、このように将来ふと役に立つこともあるので、マドプロは捨てた!などと言わずに取り組んで頂ければと思います。

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 先週の記事に便乗します。KickStarterにこんなもの(リンク)がありました。上海のUnihertzという企業が提案している小さいスマホです。ディスプレイはわずか2.45インチだそうです。現在主流のスマホのデグレードモデルであると思います。技術革新が盛りだくさんという類の商品ではありません。

 このようなコンセプトの商品を見ると、クレイトン・クリステンセン著の『イノベーションのジレンマ』を思い出さずにはいられません。この著書では、先行企業(巨大企業)が後発企業(新興企業)に逆転されてきた過去の実例を挙げ、その際に起きていた現象やメカニズムが詳しく説明されています。一言で説明するのは難しいのですが、『先行企業が現状の利益を維持するべく従来製品の高機能化・高性能化に注力している間に、高機能化・高性能化とはコンセプトの異なる後発企業の代替製品が多くの需要者に受け入れられ、市場が席巻されてしまう』というような話です。今回のスマホの話に当てはめると、先行企業がスマホのカメラ等の機能の改良に注力している間に、機能をそぎ落とした小型スマホが多くの需要者に支持され、市場が席巻されてしまうというようなことが将来起こるかも知れないというようなことです。ただ、『イノベーションのジレンマ』は技術経営の分野で常識レベルのことですので、当然、スマホの先行企業は対策を打っていることと思いますが...

 ここで、話をKickStarterに戻します。KickStarterのようなクラウドファウンディングの大きな特徴の一つとして、インターネット上に存在する多数の投資家が、ほぼ需要者と同じ目線を持っていることが挙げられると思います。需要者のニーズに適っている企業や商品に対して投資が集まりやすくなるので、全体的に見れば効率的な投資や技術開発が実現するのではないかと思います。また、クラウドファウンディングの投資状況を解析することにより、需要者のニーズの動向を掴むことができるようにも思います。例えば、需要者のニーズが従来製品の高機能化・高性能化に向かっているのか、それとは異なる方向に向かっているのかを先行企業が早期に察知できるのかも知れません。

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中国訪問雑感

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 十周年の記事(⇐ リンク)で宣言したとおり、仕事が少なそうな時期を見計らって海外出張をしてきました。今回は、ほぼ一週間にわたって中国を訪問してきました。そのなかでいくつか感じたことを、書こうと思います。帰りの飛行機のなかでこの記事を書いており、ビジネスマン気取りですが、もちろん席はエコノミーです。

知財を担う人材が若いということ

 ある企業で10名ぐらいの知財担当者の方たちと面談をしました。そのメンバーのすべてが2,30代であったように感じます。みなさん、ものすごく熱心かつ活発であり、日本からやって来た私に対して質問が絶えませんでした。中国の知財の将来は明るいように感じました。
 また、知財部門のマネージャやディレクターにも年齢の若い方が見えたことに驚きました。大企業のマネージャやディレクターでも自分(40歳)とそれほど年齢が変わらないかもというような方も見えました。中国において知的財産業務はまだまだ日の浅い業務だからでしょうか。あと、日本よりも女性が多いように感じました。

日本の知財制度についてよく知っているということ

 特に、日本の知財制度の“ネガティブな側面”についてはよく知ってみえます。『質問が絶えませんでした』と先に書きましたが、具体的には日本の知財制度のネガティブな側面についての質問が絶えませんでした。
 侵害訴訟のことをよく質問されました。侵害訴訟の数が少ないこと、原告の勝訴率が低いこと、無効の抗弁のこと、損害賠償額が低額であること、3倍賠償ルールがないことなど、あまり聞いて欲しくないことをよく聞かれました。聞かれた以上は、答えざるを得ませんでしたが...
 挙げ句、シフト補正についても聞かれてしまい、これには苦笑せざるを得ませんでした。痛いところを突いてきます。それ、こっちだってJPOさんに文句言いたいよ。
 あくまでも個人的な意見ですが、日本で侵害訴訟の数が少ないことは決して悪いことだとは思っていません。侵害訴訟の数が少ないからといって侵害が横行しているとも思いません。つまり、侵害訴訟によらなくても侵害が抑止できている日本独自の均衡感みたいなものがあるのだと思います。
 日本の製品マーケットはUS,EUと比べると小規模なので、日本の知財は、投資する価値があるか否かの当落線上にあるのだろうなと感じました。とにかく、今回、外国からの目線で日本の知財制度を考えるよい機会になりました。 

 もっといろいろ書こうと思ったんですが、そろそろ着陸態勢に入るので、このあたりで止めます。やはり中国は近い。時差も少なく気軽に行くことができる国ですね。

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