Knowledge Partners 特許業務法人【名古屋の特許事務所】

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第1回自主研修

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 以前から企画していました自主研修が終了しました。合計6名の弁理士で研修を行いました。企業内弁理士3名、事務所所属弁理士3名でした。当日は、サンプル明細書から作成したクレーム案を題材にして全員で議論を行いました。主に、構成要件の決め方、発明名称の決め方、クレームを作成する際に意識すること(意識して避けること等)、カテゴリ毎の工夫、特定の文言を使うときのコツなどを議論しました。今回は最初でしたのでクレームの具体的な表現について深い議論をするよりも、クレーム作成の基本姿勢について各人の考え方を共有することを意識して議論を進めていきました。
 自身のスキルを向上させたいという意識を持った弁理士が集まっていますので、活発に議論できましたし、貴重な情報を共有できました。また、私自身は今後も継続していきたいと思えるような内容の議論ができたと考えています。議論の内容は、参加者が閲覧可能な電子掲示板にアップロードしていきます。数年後にはこの掲示板が価値のある知識データベースになるように運用していきたいです。
 次回以降は、もう少し個別のクレームの内容について深い議論を進めていきたいと考えています。次回以降も参加者を募集していきますので、興味のある方は是非ご参加ください。

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自主研修【クレームドラフティングスキル向上のための勉強会:名古屋市】

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 自主研修を企画しています。
 今回は弁理士会の自主研修のスキームを使わせていただいています。先日、参加者募集の告知が行われましたが、おかげさまで数名の申し込みをいただいています。弁理士会の広報の力をお借りして良かったです。このブログでも告知内容を掲載致します。興味のある方がいらっしゃいましたら是非ご参加ください。

 当研修では、弁理士のクレームドラフティングスキルを向上させることを目指しています。
 特許クレームのドラフティングスキルが多くの弁理士にとって最も重要なスキルであることに疑いはないと思います。
しかしながら、日々の業務において、クレームの質や書き方等を振り返ったり、他の弁理士の意見を聞いたりする機会は意外に少ないのではないでしょうか。
 特に、一定の経験がある方や、議論が発生しにくい環境にいらっしゃる方、知人の弁理士が少ない方などにおかれましては、クレームの質を向上させる機会を設けたくても難しいと思います。
 そこで、今回、クレームドラフティングスキルを向上させるための自主研修会を企画致しました。
 基本的には、予め用意されたサンプル明細書に基づいて参加者が討論会までにクレーム案を作成し、何人かのクレーム案を討論対象とします。討論対象のクレーム案の執筆者がクレーム案の作成意図等を発表した後に、各参加者が討論することでクレームの質を向上させるためのアイディア、テクニック、多面的な視点等を共有したいと考えています。批判し合うのではなく、建設的な提案をし合う同僚、友人のような関係を目指したいと思っています。

 技術分野は限定しませんが、初回は自動運転関係の明細書をサンプル明細書にします。参加希望を表明していただいた方には事前にサンプル明細書をお送りしますので、お申し込みの際には参加を希望する旨とご自身のメールアドレスとを記載したメールを下記宛先に送信してください。クレーム案は開催日の3日前までに下記宛先に送信してください。送信していただいたクレーム案は、開催日の2日前に参加者全員に配布します。参加者は一通り目を通した上で研修会にご参加ください。
 開催日時は平日夜を想定しており、可能な限り2ヶ月に1回程度のペースで続けたいと考えています。

 第1回研修会は以下の予定です。
●日時
2018年8月3日(金)18:30~20:30頃 
●場所
弁理士会東海支部
●サンプル明細書
自動運転関係
●メール宛先:岩上アットマークを小文字のアルファベットに置換してください(ウェブサイトのcontactからお申し込みいただくことも可能です)。
岩上アットマークknowledgepartners.jp
Knowledge Partners特許業務法人
岩上渉:052-223-2116

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「特許審査ハンドブック」の改訂

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 2018年3月に特許・実用新案審査ハンドブックの改訂が公表されました。
 主に、コンピュータソフトウェア関連発明の審査基準の改訂とそれに伴う審査ハンドブックの改訂が行われたようです。
 特許庁のウェブサイトには改訂ポイントがまとめられています。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pu-kijun_kaitei_h27.htm

 審査ハンドブックの付属書Bに関する今回の改訂で私が注目した点をメモしておきたいと思います。
●付属書B第1章2.1.1.2
 留意事項(iii)には、「請求項に、使用目的に応じた特有の情報の演算又は加工が記載されている場合には、ハードウェア資源として「コンピュータ(情報処理装置)」のみが記載されている場合であっても、、、ハードウェア資源とソフトウェアとが協働した具体的手段が記載されていると解釈される」という趣旨の記述があります。要するに、処理が具体化されていれば、請求項にハードウェア資源としてコンピュータを登場させることでコンピュータソフトウェア関連発明として認められると考えて良いようです。これは、実務家の感覚としては当然で、以前の審査基準に書かれていた例のようにCPUやメモリ等を登場させることに違和感がありました。コンピュータを登場させずに、どのように請求項を書くのか考えることはありましたが、CPUやメモリ等を請求項に登場させようと考える実務家は少なかったのではないでしょうか。いずれにしても、今回の留意事項(iii)によれば、「コンピュータ+具体的な処理」で「ハードウェア資源とソフトウェアとの協働」を表現できることが明示されたため、この書き方にしておけば無用な拒絶を受けないことは確認できました。

●付属書B第1章2.1.2
 例1の(説明)において、請求項の「末尾に「キャラクタ」と記載されていても「データ」であることは明らかである。」と記述されています。特許庁としては、データ構造クレームの末尾が「キャラクタ」となっているような「データ構造」クレームを作成可能と考えているようです。

●付属書B第1章2.2.3.3
 ここでは、いくつかの例について進歩性が肯定又は否定される例が説明されています。例1,2,4,5が人工知能関連の技術でした。
・例1
 請求項:鋳造された鋼片を再加熱した後に、圧延、冷却して製造する鋼板の溶接特性を予測する方法であり、鋼の成分及び製造条件を入力値とし、ニューラルネットワークによって鋼板の溶接特性を推定する
 主引用発明:鋼の成分及び製造条件の実績値を入力値とした数式モデルを用いて鋼板の溶接特性を予測する方法
 副引用発明:所定の入力値を用いてニューラルネットワークモデルによってガラスの材質を推定する方法
・例2
 請求項:心筋断面の心筋壁を小領域に分割した画像を入力し、ニューラルネットワークによって壊死心筋組織を含んでいるか否かを判定する
 主引用発明:心筋断面の心筋壁を小領域に分割し、小領域の画像から各小領域に壊死心筋組織を含んでいるか否かを小領域の画像の平均濃度により判定するシステム
 副引用発明:画像を小領域に分割し、当該小領域に対して所定の特徴の有無を判定するように学習させたニューラルネットワーク
・例4
 請求項:内燃機関の振動センサで検出した振動検出信号を入力値としたときニューラルネットワークから出力されるシリンダ内圧推定信号をシリンダ内圧とみなす内圧検出方法において、学習時及び学習後の入力値のサンプリングレートを内燃機関の回転速度に応じて変更する
 引用発明:学習時及び学習後のサンプリングレートを一致させることは特定するものの、内燃機関の回転速度に応じて変更することは特定しない
・例5
 請求項:加熱炉内の圧力のデータと、煤煙の温度のデータと、煤煙中のCO2濃度及びO2濃度のデータとをニューラルネットワークの入力データとして煤煙中のNOx濃度を推定する
 引用発明:煤煙の温度のデータと、煤煙中のCO2濃度及びO2濃度のデータとを入力データとすることは特定するものの、加熱炉の圧力データを入力データとすることは特定しない

 結論としては、例1,2において進歩性なし、例4,5において進歩性ありとなっています。
 例1,2では、主引用発明と副引用発明との間で課題が共通、機能又は作用も共通であり、有利な効果や阻害要因は存在しないとされています。この前提のもとで、主引用発明と副引用発明とを組み合わせることができ、当業者であれば容易に請求項に想到するというロジックです。例1,2では、主引用発明と副引用発明とを組み合わせると請求項と同等の構成になりますので、進歩性が否定されるのは当然ですね。主引用発明と副引用発明との組み合わせがこれほど請求項と一致していれば進歩性がないのも当然であり、人工知能特有の論点があるというわけでもありません。
 ただし、例1,2においては、ある入力値をニューラルネットワークに入力して特定の特性を推定するという点を権利化する請求項となっており、私自身は、以前も述べましたようにこのような請求項が人工知能関連技術の権利化において有効であると考えています。ブラックボックスの部分ではなく、侵害特定容易な部分を請求項にすべきと思うからです。例1,2は、主引用発明と副引用発明の組み合わせが請求項そのものでしたが、多くの場合は、主引用発明と副引用発明の組み合わせと請求項との間に僅かであっても差異があると考えられます。差異があるならば、この差異によって生じる効果が引用文献から予想できない効果であるといえるように請求項を作成することで、進歩性ありとされる可能性を高められると考えます。
 例5は、まさにこの例と言えますね。請求項においては、圧力のデータをニューラルネットワークに入力しますが、引用発明では圧力のデータを入力データとすることは特定していません。このように、入力データの内容が先行技術と異なれば、その点で進歩性を獲得する可能性があります。従って、人工知能関連技術の権利化実務においては、入力データに特徴があるか否かを明らかにし、特徴があるならば請求項とするという作業が重要になると考えられます。
 なお、例5の場合、発明者さんは機械学習に関する技術のみを発明したのでしょうか。私は、この場合においてより広い権利の確保を検討すべきと考えています。例えば、例5であれば、加熱炉内の圧力のデータと、煤煙の温度のデータと、煤煙中のCO2濃度及びO2濃度のデータとを入力データとし、煤煙中のNOx濃度を出力する数式モデル等の発明を完成させることが可能かもしれません。つまり、機械学習の発明においては、機械学習を使って入出力関係を明らかにしたが、入出力関係が明らかになった後には、機械学習を使わなくてもこの関係を自然界に適用可能である場合があり得ます。私は、このような発明の権利化も常に視野に入れておくべきと考えています。機械学習のみですと権利としては狭いですし、侵害特定も容易ではないと考えるからです。

 例4は、ニューラルネットワークへの入力値をサンプリングする際の工夫を請求項で表現しており、引用発明には同等の工夫が見られないという例です。ニューラルネットワークに対する入力値と、ニューラルネットワークからの出力値とが公知である場合、入力や出力のみに着目した請求項で進歩性を獲得するのは当然困難になると考えられます。この場合、例4のように、入力データの準備として工夫した点など、入力値自体と異なる要素に着目して権利化するのも一つの良い実務になると考えられます。特に、CNN(Convolutional Neural Network)などにおいては、多くの場合、入力データのフォーマットが単なるRGBデータであり、特徴のない画像データであるという状況であると考えられます。このような場合、入力データの加工や出力データの解釈などにおける特徴を探さざるを得ないことは多いように思えます。人工知能関連技術を権利化する際には、検討すべき方向性として常に念頭に入れておくべきと考えられます。

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SEATTLEで考えたこと。

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 先日参加したINTAのミーティングにおいて、私の主な仕事は人に会うことでした。大半は弁理士です。会場で名刺交換をしたり事務所を訪問したり。
 そんな中、データサイエンティストの方とお話しさせて頂く機会がありました。この方は、AIの開発に携わっており、データさえあれば何でも学習できるという主旨でお話しをされていました。AIに明細書は書けると思うか?と聞いてみたところ、「データさえあれば」確実にできるということでした。例えば、クレームから明細書を作成するとか、発明提案書から明細書を作成するとか、そういうことが可能であると考えていらっしゃるようです。
 また、INTA期間中には夜も人と会う機会がたくさんあり、お酒を飲みながらたくさんの人に会ってきたのですが、その際、明細書の自動作成AIを開発している企業があるという話も聞きました。現在の所、使えるアウトプットが得られるものにはなっていないという話でしたが、世界中で明細書の作成を自動化するための開発を行っていると仰っている方もいました。


 私自身は、以前も書きましたように、「データセットを用意することが不可能」であるため、弁理士の仕事を代替可能なAIを近い将来に開発するのは不可能と考えているのですが、明細書の作成を支援するAIなら開発できるかもしれないとも考えています。例えば、特定のクライアント様の明細書を書く際に、装置の基本構成などを既存の明細書から流用し、適切な表現となるように修正する「作業」を行うことがありますが、このような「作業」であれば「正解」と見なして良い文書が存在し得るため、データセットを用意することも不可能ではないように思えます。従って、このような「作業」を行うAIであれば機械学習によって開発できるように思えます。もちろん、AIのアウトプットを適宜修正するのは必須になると思いますが、むしろ、「作業」を弁理士の代わりに実施してくれるAIがあるなら是非使いたいです。作業的な部分はAIに任せておき、クライアント様の個別の事情に合わせるべきクレームやクレームのサポート部分に注力できるようになれば、限られた時間で作成できるクレームや明細書の品質を高められるように思えます。10年後には我々の業界も今とは仕事の内容が大きく変わっているかもしれませんね。

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INTA Annual Meeting に参加してきました。

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 INTA Annual Meeting が開催されていたシアトルから戻りました。シアトルに行ってみてホテルの多さに驚きました。今回のINTAでは11000人程度の登録者がいたそうですが、十分収容可能です。名古屋で同規模のイベントが開かれることを想像しましたが、ホテルの数や国際会議場の規模からしてとても無理のように思えました。

 さて、INTAでは参加者のメリットの一つとしてnetworkingが挙げられています。確かにnetworkingの機会はたくさんあり、非常に効率的に知人を増やすことができたように思えます。

 私は今回観光をすることなく戻ってきたのですが、合間にやってみたかったことがあります。日本では使えない技術を使ってみたかったのです。AMAZON GOとUBERです。
 AMAZON GOは、自分が手に取ってバッグに入れた商品をトレースしており、退店後に各商品をチャージしてくれるサービスです。内容は聞いていましたが実際に使ってみるとやっぱり驚きます。カメラもほとんど見えない(気にならない)ように配置されており、いったいどうやっているのだろうと思わずにはいられません。私は最初に商品を紙袋に2つ入れ、そのあと手提げ袋があることに気づき、紙袋と他の商品を手提げ袋に入れたあと退店しました。そういうややこしい行動をしてもしっかり正確にチャージされていました。AIで商品とピックアップした人を特定しているとのことですが、大変すばらしい技術ですね。この技術のようにレジ打ちという業務自体をなくしてしまう技術こそイノベーションと呼ぶにふさわしいように思えました。AIが人の仕事を奪うという懸念が議論されるのも無理はないと実感しました。
 UBERは非常に便利でした。今回の滞在中、少し遠い場所に行く際にはすべてUBERを使いました。行きたい場所を入力すると、その付近にいるドライバーがその仕事を受託し、多くの場合2,3分で迎えに来てくれます。日本にいるときには、タクシーの配車と何が違うのかと思っていましたが、全く違います。使い勝手が。日本だと配車の打診から10分以上待たされることはザラですし、配車を頼んでもその場所だと「今タクシーが近くにいなくてあと20分ぐらいかかります。」などということもよくあります。現状のタクシーだと需要の変化に応じて柔軟に車の数を増やせないので無理はないですよね。UBERなら需要がない地域ではドライバーが減ると思われますが、需要のある地域ではドライバーが増えると思われますので、仕組みからしてUBERの方が圧倒的に需要に応じたサービスが提供しやすく、そこに価値を感じるユーザにとっては非常に高品質のサービスと言えます。このレベルのサービスが安定的に提供されたら多くの人にとって手放せないサービスになるでしょうね。アメリカでは実際、そうなっているように思えました。
 帰国の道中で調べてみたところ、日本でもUBERのサービスは始まっているようでした。そこで早速、駅から自宅までの配車に使ってみました。。。。結果、「この地域ではサービスを提供しておりません」とのこと。ああ、やっぱり。需要がないからサービスが提供されていないのか、サービスが提供されていないから需要がないのか分かりませんが、使えませんでした。なお、UBERが使える地域でも、日本で配車可能なのはハイヤーだけだとか。それって、、、もうUBERじゃない。
 AMAZON GOにしてもUBERにしても、日本で最新技術が体験できないのはいつ頃からなのでしょうか。規制によってイノベーションが阻害されているのであればそれはとても不幸なことです。次世代の人々に住みやすい国を継承していくために必要なことがたくさんあると感じます。

 

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INTA Annual Meeting に参加してきます。

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 明日(5/18)からINTAのAnnual Meetingに参加するため、海外出張に出かけます。2年ぶりの海外出張なので非常に楽しみです。私は若い頃バックパックを背負っていろいろな国を旅したことがありまして、その頃を思い出すからなのか、今でも海外に行くと自分の中のスイッチが切り替わるように感じます。少しテンションが上がってしまうんです。Annual Meetingでは上がってしまったテンションを利用してたくさんの方と話をしてこようと思っています。長期的に信頼関係を築けるような良い出会いがあると良いのですが。。。

 

 さて、昨日の日経新聞にこのような記事が載っていました。
ゲーム業界特許ラッシュ紛争過熱の弊害懸念も
 過去10年で特許出願件数が減少してきた業界に身をおく者としては、久々に注目したくなるニュースです。ゲーム業界では注目すべき訴訟がいくつかありますので、そのベースとなる特許出願の件数が増えるのも当然でしょうか。記事では特許件数の増加によって自由な開発の障害になるという懸念にも触れられていましたが、各社は自己の事業を確実に守るために知財を準備すべきですから近い将来に出願件数が少なかった過去の時代に戻ることはないように思えます。
 多くの日本企業はライセンス交渉を通じて訴訟まで発展させないように活動しているように思えますが、そうだとしても交渉のベースになる知財を獲得しておかなければ交渉できませんので、知財を戦略的に獲得するのはとても重要ですね。
 いずれにしても、特許業界人としては、早期に戦略的に特許を取得した企業の活動が阻害されず勝ち残るようになってほしいと願います。知財を軽視する企業が勝ち残る世界は良い世界ではないように思えるのです。
 今回のゲーム業界の訴訟は、当事者の方々にとっては非常に大変なことと思いますが、結果が出れば、どのような場合に交渉すべきなのか、どのような知財が守られるのか、など、いろいろな実務の知識を特許業界で共有できるようになると考えられます。この意味で、今回のゲーム業界の動向は非常に興味深く、今後も注視していきたいと考えています。

 

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春は学習の季節です。

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 弁理士業界は年度末に繁忙期がありますが、年度開始当初は比較的時間があります。多くの弁理士は春に自己研鑽されているのではないでしょうか。

 今年はアメリカ、シアトルで開催されるINTAのミーティングに参加しますので、この機会に米国特許法の知識をリフレッシュ中です。
 また、ここのところ私は人工知能の関連技術に非常に強く惹かれていまして、時間のあるときにより多くの知識を吸収しようと思っています。
 近年、MOOCをはじめとする学習環境がとても充実していますので、学生でなくても容易にハイレベルな教育を受けることが可能ですね。もちろん、書籍を利用して学習することも可能ですが、実際にコーディングしながら学習を進めるためにMOOCの講座を利用することにしました。
 ざっと調べただけでも人工知能に関する学習が可能なオンラインコースは非常にたくさんあります。今回、以下を検討しました。
・COURSERA: Deep Learning Specialization
・UDACITY: Artificial Intelligence
Machine Learning Crash Course
GCIデータサイエンティスト育成講座
 最初の2講座は有料です。無料体験などを使いながらそれぞれを試してみた結果、COURSERAの講座を受講することに決めました。同じ講座を受講中の方がいらっしゃいましたら是非一緒に勉強しませんか。一人より、多人数で勉強した方が理解も深まりますので。
 UDACITYは最後まで迷いました。他の講座にはない非常に興味深い課題ばかりだったからです。数独を解くコードやゲームを自律的にプレイするエージェントの作成が課題になっています。COURSERAの講座と比べると要求されるバックグラウンドが高いこともあり、UDACITYの方がまともにコーディングする量が多かったです。これが非常に楽しかったのですが、期限がタイトで、課題の提出が最終期限に間に合わなかった場合には修了できなくなってしまいます。職業プログラマーではない私のような者は、pythonの文法を調べた上でコードを書く必要があるため、デバッグの際にロジックが良くないのか文法が良くないのか判断できず、デバッグに非常に時間がかかります。通常業務終了後の空き時間で課題をこなすためにはここがネックになりまして、受講を断念しました。
 COURSERAの講座は人工知能に関する基礎的なトピックを説明し、コーディングによって体験することで理解を深める体裁になっています。多くの内容は「ゼロから作るDeep Learning:オライリージャパン:斎藤 康毅 著」等の書籍で学習済なのですが、同じような内容であってもビデオ講座で説明されるとより簡単に理解できるように感じます。講座を受講した後には、明細書がすらすら書けますのでこれだけでも受講した価値があると感じます。
 また、CNNと自然言語処理は以前から体系的に学習してみたいと思っていました。CNNと自然言語処理はCOURSERAの講座に含まれているため、このあたりが講座を選択する主な理由になりました。ちなみに、この講座は課金が1ヶ月毎になっているため、非常に始めやすくて助かります(UDACITYは一括課金)。
 COURSERAの講座におけるコーディングの課題は非常に簡単です。ステップバイステップになっており、直前の説明を読めば書くべき内容はすぐに分かります。それでもデバッグによって数時間かかることもザラであり、この期間が意外に重要と感じます。初稿のコードはほとんどの場合動きませんので、デバッグが必要です。その過程でより深く考えることで人工知能の理解が自然に深まっていきます。講座を継続してみて、コードの内容は簡単であるものの、理解を深められるようによく考えられていることが分かってきました。
 先日、全5講座のうちの最初(Neural Networks and Deep Learning)を修了したところです。現在CNNについて学習中です。YOLO(You Only Look Once)などの新しい技術も説明してもらえるようなので、しっかりと学習していきたいと思っているところです。

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組織変更のお知らせ

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 この度、Knowledge Partners特許業務法人においては、組織変更を行いました。2007年の設立以来、岩上渉と吉田大の2名が特許業務法人の社員として登録しておりましたが、吉田大は2018年3月31日をもちましてKnowledge Partners特許業務法人を退社致しました。

 吉田氏は、以前から弁理士業以外の事業を手がけておりまして、弁理士業よりもそちらに注力したいという意志をお持ちでしたので、話し合いの上、吉田氏がKnowledge Partners特許業務法人を退社することになりました。

 後任には後藤貴亨が就任致しました。今後は、岩上渉と後藤貴亨の2名が特許業務法人の社員として登録しまして、Knowledge Partners特許業務法人を継続してまいります。Knowledge Partners特許業務法人では今後も全メンバーが団結しまして、クライアント様から期待して頂ける事務所を目指して日々研鑽していく所存でございます。
 今後とも、よろしくお願い申し上げます。

2018年5月  岩上渉

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弁理士の仕事をAIが奪う話

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 AIは人類にとって脅威なのでしょうか?
 今さら?と思えますが、AIが人間の仕事を奪うという話は未だに頻繁に話題になりますので私も少し乗っかってみたいと思います。
 有名なのは、野村総合研究所が発表したこれですね。弁理士の仕事の92.1%はAIに取って代わられるという予想もあるとか。
 根拠を探ってみましたがウェブサイトからはたどり着くことができませんでした。また、分析に利用されたデータとして 労働政策研究・研修機構「職務構造に関する研究が挙げられていましたが、この研究は、各職業に必要なスキルや知識のアンケートをとって集計したもののようです。この集計結果は、業務の具体的な内容を示しておらずAIで代替可能かどうかの議論に値する情報を全く含んでいないと思えるのですが、分析の元データは本当にこのデータなのでしょうか?

 ウェブサイトに開示されていた情報だけでは発表の内容を深く分析できないので、この発表結果は気にしないことにしてここでは弁理士の業務の代替可能性を技術的に検討してみます。
 まず、弁理士の業務を特許明細書作成業務に絞ります。弁理士の業務と言えばまずこれでしょう。先行技術文献の検索業務など他の業務もありますが、検索業務等に依拠している弁理士の数は少なく、弁理士の業務の代替可能性を考える際に特許明細書作成業務を分析することが必須と思えます。ちなみに、私自身は、検索業務のような作業系の業務はすぐにでもAIに代替されてほしいと思っています。

 現在AIと呼ばれているモノで実現性のあるモノといえば機械学習でしょうか。例えば、ニューラルネットワークに特許明細書業務を学習させるとか、強化学習で良い明細書を書けるようにするとかが想定されるのでしょうか?無理としか思えません。機械学習を進めるためには正解が必要だからです。具体的に実現しようとすれば、何が正解なのか定義しなければなりません。例えば、発明者の書いた発明提案書を明細書に変換するニューラルネットワークを考えてみましょう。この例であれば、発明者の書いた発明提案書と理想的な明細書とを対応づけた教師データを使ってニューラルネットワークに学習させることになりますね。この時点で不可能としか思えません。ある入力情報に対応する理想的な明細書なんてモノは世の中に存在しませんし、既存のデータから正解を創ることはできません。
 既存のデータ、例えば、発明提案書と出願済明細書とのセットを教師データとすれば学習は可能かもしれませんが、このセットは正解でしょうか。必ずしも正解ではなく、場合によっては品質が良くない明細書も多く存在するのではないでしょうか。こんな教師データを使って学習しても、意味のない学習しかできません。
 特に請求項は、出願人の個別の事情や発明の内容に応じてカスタマイズされる必要があります。そんなことが可能な教師データがどこにあるのでしょうか?判例でしょうか?判例に挙げられた請求項が、正解だとは思えませんし、そもそも圧倒的に数が足りません。
 上述のニューラルネットワークは私の勝手な予想であり、実際には別の理由で代替可能性が議論され得るのかもしれませんね。発明提案書を入力し、出願済明細書を出力する処理が可能であるという前提がそもそもファンタジーですし。例えば、汎用人工知能が完成すれば弁理士の業務をAIが実行することができるでしょうか?できるかもしれませんし、できないかもしれません。いずれにしても、汎用人工知能が具体化する道筋が見えていない現在においてその完成を予想し、しかも弁理士の業務が代替される可能性を予想するのは、ロジカルな話になり得るでしょうか。私にはタイムマシンが実現するか否かを予想するのと同程度の話にしか思えません。
 弁理士の業務の代替性をまじめに考えるのであれば、少なくとも、どのようなデータを使って学習させるのか明らかにするとか、業務を代替可能にする技術的アプローチを具体化するとか、そのような議論が必要なのではないでしょうか。私自身は、正解のデータを用意できる業務であれば代替される可能性が高いと思いますが、正解のデータを用意できない業務が近い将来に代替されると思えないです。

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AIによる「音声認識」使ってみました。

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 年末に予定していたとおり、休み期間中にVoice Kit をいじってみました。
 年末年始、我が家ではボードゲームがブームでした。「カタンの開拓者たち」というボードゲームなのですが、非常に完成度が高く子供も大人も夢中になって楽しむことができます。このゲームは、2つのサイコロを振り、出た数の和を使って進行していきます。このため、2つのサイコロを振って出た数の和が戦略上とても重要になります。うちの子供たちは、当初、2つのサイコロを振って出た数の和を確率で推定できるということを知らず、説明してもよくわからない様子でした。そこで、出た数の和を記録してみることにしてみました。ゲーム中にサイコロを振って出た数の和を全て記録していくのです。1ゲームではサイコロを振る回数がさほど多くなく、確率を正確に反映していないため、数ゲームにわたって記録を続けないと有意な結論を導けません。
 ですが、毎回記録するのは面倒くさい。サイコロを振るたびにペンを使って数値を書き留めるだけなのですが、ゲーム中にこれを続けるのがすごく面倒くさい。
 そこで、Voice Kitの登場です。
 ゲーム中、サイコロを振るたびに2つのサイコロの数の和を発話し、発話回数を記録することにしました。Google Cloud Speechというサービスを使うと、マイクを介してraspberry PIが録音した音声をテキスト化してくれます。そこで、サイコロの数の和をテキスト化し、和の値を示すテキストである場合にその数値の発話回数を1プラスすれば、最終的に和の数がどの頻度で出現したか分かります。例えば、和が7の場合、「number seven」と発話し、7の発話回数を1プラスします。この処理を繰り返し、最後にその和を表示させるプログラムを作成しました。
 結果、数値の記録がだいぶ楽になりました。音声入力でも若干面倒には思えましたが、それでもペンで記録するよりはずいぶんとましです。音声入力が終了した時点で電子データ化されているため集計も楽でした。
 今回は、以上のような極々簡単な内容で音声認識技術を体験してみました。音声認識サービスが有用と思われる場面はたくさんあると思いますが、今回のように、あるタスク(ボードゲーム)を実行しながら別のタスク(サイコロの目の集計)も実行する場合、その一方を音声入力のみで実施可能にするサービスは非常に有用と思われます。
 そして、このようなニーズはそこら中にありそうです。GoogleのサービスやVoice Kit を使えば、「こうなっていれば便利かも」というアイディアを実現するための装置を非常に簡単に試作し、有用性を判断したり、より本質的なニーズを発掘したりすることができます。従って、音声認識を行うためのAI技術などを持っていなくても音声認識を使った発明することが可能です。。。。
 今後、音声認識に関する発明が増えるかもしれませんね。

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