所属している弁理士会の著作権委員会の活動のからみで、プログラム著作物に関する民事裁判(主に侵害事件)の判例を広く浅く検討しました。ここではその成果を数回に分けて紹介します。もちろん、真の成果は弁理士会から公表される予定ですので、ここで公表できるのはあくまでも成果の副産物です。
第1回ではプログラム著作物の判決文のキーワードの解析結果を紹介します。
解析の方法は、プログラム著作物に関する最近の判例(80個)の判決文のテキストファイルを用意し、それらを争点となりそうなキーワードで横断的に検索するというものです。一通り目を通すのも大変なので...ササッと、PC(Grepソフト)でやってしまいます。一瞬で終わります。PCってすごい。
その結果(一部)は下の表のとおりです。各セルの数字は、キーワードの出現回数で、10回以上出現しているセルは赤くなっています。最高記録は、『創作性』の160回です。『創作性』が争点になっている判例の数が多く、次いで『類似』が争点になっている判例の数が多いことが分かります。また、『創作性』の出現回数と『類似』の出現回数の相関係数を計算したところ、0.87と極めて強い相関が見られました。
以上のことから、
・プログラム著作物は『創作性』と『類似』が揉めやすい。
・プログラム著作物は『創作性』と『類似』がセットで揉めやすい。
ということが言えそうです。今回はこれぐらいにしておいて、次回は『創作性』に焦点をあてて、もう少し判決文の内容に踏み込みます。