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マドプロ実務と弁理士短答式試験の出題傾向

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 弊所はマドプロ(マドリッド協定議定書(標章の国際登録に関するマドリッド協定の1989年6月27日にマドリッドで採択された議定書))の外内案件も扱っています。マドプロの外内案件というのは、概ね、日本の特許庁が出した暫定的拒絶通報を撤回してもらうための中間処理のことを意味します。暫定的拒絶通報における拒絶理由の根拠は日本の商標法であり、反論する相手も日本の審査官であるため、われわれ日本の弁理士の出番ということになります。マドプロということで特別な感じもしますが、業務の内容は国内の拒絶理由対応と別段変わるものではありません。
 ただ一点だけマドプロ特有だと思うことがあります。それは、マドプロの場合、自らの支配下にある先願先登録商標を引用して4条1項11号で拒絶されるケースが国内の案件よりも多いということです。つまり、先願先登録商標が自らの支配下にあるにも拘わらず、特許庁において他人の先願先登録商標であると判断された結果、4条1項11号で拒絶されるケースが多いように感じます。
 その原因の一つに、先願先登録商標の移転登録や住所変更のやり忘れが挙げられます。権利の承継や住所変更があっても、外国の権利者がなかなか日本の商標権の登録情報までアップデートしきれていないというのが実情なのでしょう。特に一般承継において海外の知財権の処理まで気が回らないというのは仕方がないようにも思います。
 そんなことで、暫定的拒絶通報を受けてから慌てて権利を同一人に帰属させるための移転登録手続をしないかん、ということになるわけです。マドプロで暫定的拒絶通報を受けた出願人は先願先登録商標もマドプロを利用していた場合が多いため、多くの場合、先願先登録商標としての国際登録の名義人の変更手続をすることになります。その段階で、名義人の変更について規定しているマドリッド議定書9条を読むことになるのですが、不思議と条文の記憶が鮮明なのです。理由として思い当たるものは、だいぶん昔に受験した弁理士試験の短答式試験しかありません。
 ということで、過去問を見てみました。その結果、マドプロの名義変更に関する問題は最近の9年間(H21~H29)のうちの6年で8枝も出題されていました。

・H28-問10枝4
・H26-問11枝ハ,ニ
・H24-問10枝3
・H23-問14枝4
・H22-問19枝1,4
・H21-問5枝イ

 こんなにも出したら誰も間違えないでしょーという頻出度です。なぜ記憶が鮮明だったか納得がいきました。
 と、同時に、意外(と言ったら失礼かも知れませんが)と実務のことを考えて作られてたんだなあと、弁理士試験のありがたみを感じました。
 受験される皆様におかれましては、無駄な知識の詰め込みが多いように感じることもあることと思いますが、このように将来ふと役に立つこともあるので、マドプロは捨てた!などと言わずに取り組んで頂ければと思います。


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