Knowledge Partnersは、2017年で設立十周年を迎えます。
プライベートでは、結婚、子育てなど環境変化の伴う非常に充実した10年でした。仕事関係では、サブプライム問題に起因する景気後退や特許出願件数の激減など激しい環境変化がありましたが、これまで比較的安定的に事務所を運営してこられたと思います。
経営の安定は望むべきことではあるのですが、一方で現状維持で満足するような空気が蔓延すると安定ではなく停滞になってしまいます。そこで、十周年を迎えるこの機にToDoリストを見直してみました。今年からは少しずつでも行動していきたいと思っています。
以下は、今年度に入ってから取り組んだToDoリストの一部です。
ウェブサイトをリニューアルしました。外部への発信を意識しないと事務所全体で内にこもるような空気になってよくない。ブログも再開します。今回はフェイドアウトしないようにしたい。ウェブサイトやブログを通じて尊敬できる人と出会えると理想です。
忙しいことを言い訳にして手つかずのままでしたが、実務家同士の勉強会が自己研鑽に極めて効果的と考えておりました。近日中に概要を決めて参加者を募集するつもりです。有意義な議論ができる規模の参加者が集まるといいなあ。
海外代理人を訪問してきました。業界の繁忙期は3月で終了し、4月、5月は比較的仕事量が少ないため、この時期であれば1週間程度不在になる予定であっても無理なくこなせます。Knowledge Partnersが外からどのように見えるのか改めて意識するいい機会になりました。海外出張には定期的に出かけたいと考えています。
次の十年、その次の十年も期待される事務所であり続けるために、変化に対応できる組織作りをしていこうと思います。
「すごいなあ、この会社。」って思える会社あります?
IT関連だったらグーグル。すごいなあと思います。
最近僕がついつい尊敬の念を抱いてしまうのはピクサーです。アニメーションの。
子供のクリスマスプレゼントにトイ・ストーリーの3本セットを買って以来、
うちでは何度もトイ・ストーリーが再生される。
映画自体、子供にとっても大人にとっても面白く、そして、泣けるのだが、
何度も繰り返して見ていると、映像の完成度の高さから
小さな物体でも手を抜かない丁寧さにいたるまで、いろいろと観察できる。
例えば、日本語版と英語版では細かい部分が異なっており、
それぞれに合うようにカスタマイズされていたり、
同じ幼稚園内の風景をライティングによって全く違う雰囲気に見せたり、
ただのカゴと普通のおもちゃを使って幼稚園内を刑務所のよう見せたり、、、
まあ、とにかく感心します。
何度見ても感心するので、興味がわいてしまい、ついつい特典映像も見てしまった。
ピクサー内の楽しげな雰囲気を伝えてみたり、
ピクサーに入社するために必要なことを説明してみたり、、、色々ある。
ピクサーの社員さんが現れて、数学が重要だと語るあたり、
子供に対してとても前向きなメッセージを発信しており好感が持てる。
僕が最も興味深く見たのは監督による映像解説である。
この解説では細部へのこだわりがこれでもかと語られており、頭が下がります。
正確な言葉は忘れたが、「人が気付かないところにもこだわりを持って完成度を高めることが
全体の品質を支える」的なことを言っていた。それがピクサーのスピリッツらしい。
こういうスピリッツ、大事ですよね。どんな仕事をするにしても。
明細書にもそう言う側面はある。読み飛ばそうと思えば読み飛ばせるような部分であっても、
こだわりを持って完成度を高める。僕はそう言うスタンスで仕事をしたい。
納期と単価が決まっているのでお客さんに迷惑がかかるほどのこだわりを持ってはいけないが、
迷惑を掛けない限りにおいてはこだわりを持って完成度を高めたいと思う。
お客さんに問われたとき、「ああ、ここはこういう意図でこういう表現になっているんですよ」
と語れる部分を随所にちりばめたい。それが結果としてお客さんの満足度を高めるのであれば理想かなと。
今は繁忙期で小難しいことを考えず次々に明細書を執筆する必要があるのだが、
こう言うときだからこそ少し立ち止まって自分の明細書を見直してみたい。
明細書スタイルの固定化=良い意味での思考停止
僕はいつも同じスタイルで明細書を書いている。
つまり、どこにどういうことを書くのかだいたい決まっている。
もちろん、日々の経験に基づいてスタイルを修正していくので、
長期でみるとスタイルが変化することはあり得るが。
明細書のスタイルを固定化すると、明細書内で最低限書くべき情報を
忘れずに書き込んでおくことができる。明細書の大まかなストーリー展開も固定化されているので
そのストーリー展開で文章を作る経験値が高くなりスキルが向上する。
従って、同じスタイルで書いておけば一定以上の品質を確保しやすい。
そして、何をどこに書くべきか、、とか
ケースバイケースでストーリー展開を変えるといいかなあ、、とか
悩む必要がない。僕はこれを良い意味での思考停止状態と考えている。
もちろん、クレームの文言抽出、クレーム設計、細かい要素毎の論理展開、
補正の仕込みなど、明細書の品質を高めるために注力すべき他のことには多くの時間をかける。
つまり、ケースバイケースで最適化すべきことについてあれこれと悩むことにしている。
明細書のスタイルを固定化すれば、他にも色々とメリットがある。
明細書のチェックが容易になるし、中間段階では反論の要素が書いてあるはずの箇所を見つけやすい。
お客さんもしばらくお付き合いを継続すればきっと読みやすくなると思う。
業界人の皆さん、明細書のスタイルについてどのように考えてます?
このブログは、KPメンバーの人となりやKPの雰囲気を伝えるために始めました。
ブログ開始前にはKPのウェブサイトを作成して公開した。
このウェブサイトではKP設立時の思いや仕事に対する姿勢を公開し、
同じような考え方を持つ人材や高品質を指向する人材に注目してもらおうとした。
互いに尊敬し、尊重できる人材と仕事をしたいと常々思っているからだ。
要するに、パートナーやパートナー候補に入所してもらいたくてウェブサイトを公開した。
ところが、KPのウェブサイトの感想を周りの友人等に聞いてみると、
ネガティブな印象も受けるらしい。
「KPには真摯に仕事をする人材が集まっているようだが、
人として付き合いにくい人材や頭の硬い人材ばっかりなのではないか」
という印象を受けるとのこと。
そういう他者の意見を聞くにつれ、自己の行為の客観視は大事だなと思ったものだ。
だからといって、ウェブサイトに公開したような
僕らの考え方を変えるはずもないしどうしよう、、、
ブログ開始時、こんな状況だった。
そこで、ウェブサイトの内容はそのままとしつつ、
KPメンバーの人となりやKPの雰囲気を伝えるためにブログを開設した。
仕事は妥協しない、そう言う意味では若干頭が硬いかもしれんが、
プライベートでは全くフツーの人の集団であり、
それぞれが全く異なる価値観を持ち、仕事以外にも生き甲斐を持ちながら普通に生きている様子を
記録していけばKPに興味を持つ人やKPの考え方に共感する人が
KPにアクセスする敷居が下がるんじゃないかなと。。。。
ブログが当初の意図通り機能しているだろうか?
ブログについても友人に意見を聞くなり、効果を客観的に分析しないといかんなあ。
あ、ブログを読んでいる人がいたらご意見を頂けるととても助かります。
今話題の3D映画、アバターを見た。
しっかり3Dだった。立体だとこんな風に見えるのかと感心する。
ストーリーも楽しめた。
ハリウッド映画にありがちな映像で勝負というスタンス、僕は大好きなので。
で、3D。しっかり3Dである。正直びびった。ここまできたかと。
でも手放しで大絶賛というわけでもない。技術的に。
僕の見た映画館では、左右の眼に異なる偏光の映像を見せることによって
左右別の映像を認識させて3Dを感じさせる方式を採用しているらしい。
このため、目に届く光が暗く、目の悪い僕には見づらいところがあった。
それから当然かもしれないがスカッと3Dになるところと3Dにみえないところがある。
特に遠景は3Dに見えないことが多かった。元々3Dに見えない背景なのか?と思うぐらい。
この類の不満はあるが、でも3D映画自体はやっぱり2Dより楽しい。力一杯応援したい。
僕は、現状の3D映画のような技術の黎明期が好きである。
技術の進歩を目の当たりにできるし、
技術者の苦労が徐々に報われることで完成に近づいていくこの感じ。
これから何か面白いことになりそうだ、、、という雰囲気。
理想型が完成したときに訪れるであろうすばらしく楽しい世界に向けて多くの人が努力する、
そんな時代。いいですよね。
弁理士は技術進歩の初期から完成期までいろんな場面でお仕事を依頼される。
もちろんどの場面でもやりがいのある仕事である。
が、3D映画の技術進歩を見ていると、大きな市場規模の技術の黎明期に
弁理士としてその技術の発展に関与できないかなあと妄想してしまう。
技術の黎明期は特許取り放題と思われ、弁理士としてもとても楽しくできそうだから。。。。
黎明期の技術に関与している特許部の方、このブログ見てませんか?
KPには良い仕事をする人材が揃ってますよ!
「昔からやってみたかったんだよねえ、コレ。」って結構ある。
でも、やってないのは自分であってやってみたいならさっさと試してみると良いようだ。
僕:「僕って昔はゲームプログラマーになりたかったんだよねえ。」
嫁:「じゃ、今からやればいいじゃん。」
先日こんな会話を経て気付きました。やってみたいとか妄想していても意味ないぞと。
自ら自分の可能性を狭めちゃあいかんですね。
で、早速1,2冊本を買い込んでプログラムの勉強をしてみた。仕事にも役に立つし。
で、早速挫折した。子どもの頃はわからなくて挫折したのだが、今回は興味がなくて挫折した。
どうやら、僕には「ゲームを作る」ことに情熱を注ぐ感性はないらしい。
ユーティリティソフトを作ろうかと思ってみたが、やっぱり情熱はわいてこない。
そんな訳で挫折した。でもむしろすっきり。試してみて初めて自分の適性がわかったので。
さっさと試してみることが重要ですね。
そういえば、ロボットも作りたかったぞ。
僕が高校生ぐらいのとき、黎明期のロボコン的イベントを
NHKで放映しているのを見てえらい感動した。
試行錯誤を繰り返しながらアイディアをロボットとして具体化する、
その創造的な空間をすごくうらやましく思いながら番組を見ていた。
で、近年のロボコン界を調べてみると、、、ロボットキットなんかが発売されていたりして
当時に比べるとかなり敷居が低いようだ。
もしかして僕でもロボットを作れるのでは?
我ながらちょっとオタッキーな香りがするが、お小遣いが貯まったら試してみよう。
仕事でも以前からやろうと思ってたことは沢山ある。明細書の書き方の工夫ネタなら山ほどある。
例えば、特許の権利化段階では審査官の指摘した引用文献に対して、
権利化対象の技術の優位性を述べて反論することになる。
反論の過程では、権利化対象の技術の構成とその構成による効果をセットで主張することが多い。
てことは、予め明細書のどの部分に効果が書いてあるのかわかるようにしておけば、
権利化段階で主張し得ることを明細書から簡単に抽出できるように思える。
で、効果は、通常、明細書の中で「~できる」「~可能である」
「**するため、~となる」など様々な表現で記述してある。
この表現を統一しておけば、効果として主張し得ることを簡単に検索して
一覧にすることができるのではないか?効果は全て「~可能である」と書く。それだけ。
でも、統一してあればきっと便利なはず。早速試してみることにしよう。
特許業界ではほとんど一人で明細書を完成させる。
教えられる立場であれば通常はコーチの意見を聞きながら明細書を完成させるが、
教えられる立場を卒業すると他人のチェックを経ることなく納品に至るケースが大半となる。
これではいかん。
自らの進歩が止まってしまう。
自分の中で理想の明細書を日々追求し、書き方を常に工夫しているとしても、
やっぱり進歩が停滞しているように感じる。
先日世間話をしていたら、DYさんも同じように感じていたようだ。
そこで、時間があるときには互いのクレームをチェックすることにした。
これが結構緊張する。
お互い品質に厳しく、「これじゃあ訳がわからんのじゃないすか?」
ぐらいのことは平気で指摘し合うからということもあるが、
やはり、互いの指摘がもっともだからというのが大きいように感じる。
そう。やっぱり、互いにチェックをすると理想型に近づくための思索ができる。
まだまだ伸びしろはあったのだ。
経験者の指摘を受けながら良いものを作っていく行為は業界駆け出しのときのような新鮮さがある。
人間、停滞していちゃいけないなあ。
KPではお客様とのコミュニケーションを大切にしている。
弁理士業は、自らの経験や学習に裏付けられた知見に基づいて
お客様にサービスを提供する業種であるため、業界でまじめに仕事を続けていると
次第に仕事の理想像というか大事にしているポイントが固まってくる。
このような「自らの価値観」みたいなものを持たない業界人は信頼されないと思うが、
価値観を持つことによって柔軟な発想が妨げられることもある。独りよがりってやつだ。
独りよがりにならないために、お客様とのコミュニケーションは重要である。
特に、
お客様が我々に何を期待しているのか?
どのような明細書、請求項を理想としているのか?
このあたりには常にアンテナを張りながら仕事をしたい。
請求項についてお客様のニーズを伺ってみると、、、
「請求項って一読しただけではよくわからんのだよなあ」
という印象を持たれているお客様が結構いらっしゃる。
請求項は権利範囲を確定するための文章であるため、
ここの記載には妥協を許さず力一杯努力をする。
しかし、数ある公報の請求項を読んでみると、一読して意味がとりづらい文章が多々ある。
請求項の文言を一つずつ解釈していって権利範囲を特定するという視点からすれば、
ある程度わかりづらくなることは当然のようにも思える。
でも、「請求項ってわかりづらいものなんです」なんて言いながら
自分のスタイルを変えないで仕事を続けると、まさに独りよがりである。
権利解釈上不都合になることがなく、しかもわかりやすい。
これが請求項に求められる最低限の要求であろう。
「一読したときにわかりやすい請求項」を作成する弁理士。これを直近数年の目標としよう。
KPでは、明細書の全案件についてお客様から品質の評価いただいている。
この評価は少なくとも一年に一回集計し、集計結果をお客様に報告する。
明細書評価は種々の目的で利用できる非常に価値の高い情報であるが、
その最も大きな利用価値は、当然ながら明細書品質の向上ツールとしての価値である。
今回、1年分の明細書品質評価を集計し、
品質評価システムがKPにとって重要なツールであることを改めて確信した。
明細書品質の評価基準は人によってバラバラなので、
品質を評価してもその評価結果をうまく利用できないという意見を聞くこともある。
しかし、評価基準が変動し得るとしても、
一定以上のスパンで評価を集計すると色々な情報を抽出できる。
抽出した情報をお客様に提示してご意見を伺えば、
抽出した情報が誤りであるか否かを確認することもできる。
例えば、ある評価項目が他の評価項目よりも高い評価あるいは低い評価であり、
この傾向が一年間にわたって現れていれば、
お客様はKPのどこを評価し、どこに不満を持っているのか分析することができる。
今回の集計報告では、年単位で評価の大きな変動を捉え、
その変動から結論づけられそうなことをいくつかピックアップした上でお客様のご意見を伺った。
その結果、お客様の印象と一致する結論をピックアップできていることがわかった。
今回の報告では、集計結果に基づいて明らかにしたお客様の印象に基づいて
よりよい明細書を執筆するための目標が明らかになったので、この目標を09年度の目標とした。
誰もが信頼性を懸念する明細書評価システムであっても、
解析の仕方を工夫すればとても使える重要なツールになるようだ。
今後、評価シートの評価項目や評価基準など、
至らない点について常に改善を図っていけば、
僕らの強みをよりいっそう強くする極めて使いやすいツールになると思われる。
今更だがデスノート(漫画)を読んでみた。
今更だがHEROSシーズン1(ドラマ)を見た。
双方ともとても面白かった。
双方とも超常的な要素がストーリーのキーになっている。
僕は元来超常的な話が好きではなく、この類の小説やら映画は避けてきた。
でも双方ともとても面白かった。
双方とも伏線があちこちにちりばめられており、それらが繋がっていく様が秀逸であった。
とてもよく練られたストーリーだなとたびたび感心した。
ストーリーを考えた人はとっても頭がいいと思う。
多数の伏線を予め仕込んでおき、
後に伏線を使って次々に読者の想像を超えるストーリーを展開していく。
これってとてもスゴイ能力だ。
予め相当に考えられた伏線とその種明かしで読者を惹きつける。。。。
これって特許明細書にも使えるのでは?
特許明細書は発明の解説書であり、ロジカルな文章であることが極めて重要である。
しかし、公開されている特許明細書を読んでみると、
スカッと理解できる特許明細書もあれば理解しがたい特許明細書もある。
ロジックの質が同じであるならば、どう考えても前者の方が特許明細書としての品質が高い。
で、スカッと理解できる特許明細書はストーリー展開が練られているように思う。
単に請求項の内容を解説するのみではなく、
従来技術、課題の捉え方、解決手段、実施形態の説明法、それぞれが予めよく練られている。
特に実施形態には伏線の仕込みが使えるように思う。
例えば、情報系の発明では、
前提となるハードウェアと予め用意しておくデータのセットをきちんと説明しないと
発明の核としてのCPUの動作を明快に説明することができない。
前提がはっきりしており、その前提をふまえて
CPUの動作を説明すれば理解容易になることが多い。
つまり、前提の説明が伏線となり、CPUの動作が種明かし的に説明されていれば
読者がすんなりと理解できるのではないか?
ストーリー展開を予め考えることなんて当たり前のことである。
でも一回立ち止まって考えてみるときっと何か得られることがあるはずだ。
今一度自らの執筆内容を再考してみることにしよう。